いちばん派手に崩れたのは誰か
自前ASPが乱立した時代、崩れ方にはいくつかの型がありました。ここでは特定の個人ではなく、当時よく見られた「爆死」の類型を三つ取り上げます。
論評以下は当時の業界で語られていた典型例をまとめたもので、個別の人物や事件を指すものではありません。
類型1:ネオヒルズ予備軍
いちばん数が多く、いちばん悲惨だったのがこの層です。師匠格の成功(に見えるもの)に憧れた20代前半〜30代が、自前ASPのスクリプトを買い、身の丈に合わない高額報酬を掲げて参入しました。
- セキュリティの甘いシステムが悪質なアフィリエイターに狙われ、架空の成果が積み上がる。
- 払えない報酬を請求され、カード会社からは売上を止められる。
- 最後はSNSのアカウントを消して姿を消すか、借金を抱えて退場する。
彼らは被害者であり、同時に次の被害者を生んだ加害者でもありました。その二重の立場が、この層の苦しさです。
類型2:頂点の崩壊
業界の頂点にいた人物が崩れると、その下に連なる人たちがまとめて足場を失います。2014年のFASの資金ショート(第2章)は、その象徴でした。巨大な紹介網の中心が揺らいだことで、報酬を待っていた人、次の商材に備えていた人の計画が一斉に狂いました。
類型3:「全額返金保証」の自爆
「稼げなかったら全額返金」をうたって売りまくった販売者も、多くが自爆しました。
- 販売額の50〜80%をアフィリエイターに報酬として払ってしまう。
- 稼げなかった購入者から返金を求められる。2010年代半ばからは弁護士や集団での返金請求も増えた。
- 返金すべき額は販売額の100%。すでに報酬で出ていった分は戻らない。
売れば売るほど、返金時の持ち出しが増える。逆ざやの構造です。保証は売るための飾りで、実際に返金が来ることを本気で想定していなかったことが、ここで露呈しました。
共通していたこと
三つの型に共通するのは、新しい客の現金で古い約束を払う自転車操業でした。評判が落ちて新規が止まった瞬間、資金繰りは止まります。画面に表示する数字は簡単に作れても、裏付けのない数字はいつか必ず請求書になって返ってきました。