24万円で何が手に入ったのか
当時の高額塾や高額商材は、20万〜30万円前後の価格帯が定番でした。「ネットで自由に稼ぐ方法」を学べるはずの塾。では、その中身は何だったのでしょうか。
論評以下は、当時売られていた高額塾・商材の典型的な構成を一般化したものです。中には実務的な内容を含むものもあり、すべてがこうだったわけではありません。
典型的な中身
前半:マインドセット
教材の大半を占めたのが「心構え」でした。成功者の考え方を持て、毎日10時間作業しろ、否定的な友人とは縁を切れ、成功した未来を強く思い描け。読む側は熱量に押され、「この人は本物だ」と信じ込んでいきます。
後半:ネットで調べれば分かる手順
具体的なノウハウとして書かれていたのは、無料ブログの開設方法、メルマガスタンドの登録方法、そしてコピーして使える「あおり文」のテンプレートでした。
結論:同じ塾を次の人に売る
最後に明かされる「稼ぐ方法」は、多くの場合こうです。ブログを作り、「月収◯万円達成」と掲げ、メルマガに誘導し、自分が買ったこの塾をアフィリエイトする。1件売れれば10万円前後の報酬が入る、と。
空箱の売り渡し
塾長 … 24万円の「箱」を作る
1期生 … 24万円で箱を買う → 中身がないと気づく → 元を取るため2期生に売る
2期生 … 24万円で箱を買う → 3期生に売る
……
手に入ったのはプログラミングの技術でも、Webデザインでも、SEOの知識でもありませんでした。次に24万円を払う人を探すための営業マニュアルです。そしてこの連鎖が、前の章で見たような自前ASPの上で高速に回っていました。
真面目な人ほど潰れた
受講者の多くは、ITの技術が身につくと信じて、カードのショッピング枠や消費者金融で代金を払いました。渡されたのは「人に同じものを売れ」という指示だけ。真面目な人ほど「こんなことはできない」と罪悪感で手が止まり、借金だけを抱えて静かに去っていきました。
逆に、割り切れた一部の人は師匠をまねて自分の塾や自前ASPを立ち上げ、次の予備軍になりました。
事実国民生活センターによると、全国の消費生活センターに寄せられた「情報商材」に関する相談は、2013年度の872件から2017年度には6,593件へと、4年で7倍以上に増えています。安い商材から高額なコンサルやサポート契約に誘導される、カードや借金での支払いを勧められる、返金保証をうたいながら応じない、といった手口が典型例として挙げられています。
| 年度 | 情報商材の相談件数 |
|---|---|
| 2013 | 872 |
| 2014 | 999 |
| 2015 | 1,754 |
| 2016 | 2,965 |
| 2017 | 6,593 |
ネオヒルズ族が表舞台から消えた後も、被害の相談はむしろ増え続けていました。手口が広く薄く、一般の人へ降りていったことを示す数字です。